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第111号 新「会社法」と中小企業経営①

今まで会社に関する法律は商法や有限会社法によって定められていましたが、本年5月1日に施行される「会社法」によってその内容が大幅に変わることになりました。

中小企業経営者の場合、この会社法を知らなくても直ちに困ることはないかもしれませんが、倍によっては損をしたり、極端な場合、法律違反を犯してしまう可能性もありますので、一通りのことは押さえておかれることをお勧めします。

なお、これらの改正事項は、原則として本年五月決算会社から適用されます。

 

一、有限会社がなくなり株式会社になります

ただし、既存の有限会社はそのまま有限会社と名乗ることもできますし、株式会社に簡単な手続きで変更することもできます。有限会社のままの商号を使い続ける会社は今までの有限会社法で認められていた規律をそのまま継続して適用することができます。すなわち、役員の任期の定めをおく必要がなく(株式会社になると最長でも10年の任期とされ、10年ごとに役員重任の登記が必要になります)、決算書の公告も不要です。

したがって、商号中に株式会社の文字を使用するメリットのある会社は株式会社に変更し、その必要のない会社は有限会社のままのほうが良いでしょう。

 

二、資本金の下限がなくなります

今まで資本金には最低金額が定められていました。すなわち、株式会社は1000万円、有限会社は300万円でしたが、この最低金額がすべてなくなりました。したがって、資本金が用意できなくても設立諸費用だけで簡単に株式会社が設立できることになりましたので、新規の会社設立が増えることが予想されます。

また、創業者が1円の資本金で会社を設立できる制度が平成15年から始まりましたが、この制度を利用して設立した確認株式会社、確認有限会社は5年以内に本来の資本金にする必要がありました。しかし、今回の会社法の施行によりその必要がなくなりました。

 

三、取締役一人でも認められます

今まで、株式会社は取締役三名、監査役一名必要でしたが、有限会社と同様に取締役一名で良いことになりました。ただし、取締役一名ですと代表取締役と名乗れなくなります。

また、取締役を二名以上置く会社は取締役会を設置することができ、重要な決議を取締役会で決めることができることになります。その場合、原則として監査役は置かなければならなくなります。

どちらのほうがいいかは株主の人数、取締役の構成等を考慮して判断することになるでしょう。

 

四、事業承継対策に利用できます

死亡した株主が所有している株式はその相続人が取得することになりますが、その相続人が会社にとって好ましくない人である場合でも、今までは拒否できませんでした。今回の会社法では、会社の定款に譲渡制限がある株式会社の場合、会社はその相続人が株主になることを拒否し、また会社に売り渡すことを請求できることになりました。

この制度を利用すれば、相続による株式分散防止に活用できます。

ただし、この制度はオーナー社長が死亡した場合でも適用されるため、場合によってはオーナー一族の支配が他の少数株主に乗っ取られる危険もありますので、定款を作成するときは十分注意が必要です。

また、一株で他の株式の何倍もの議決権を有する株式を発行することができるようになりました。これを活用すれば、事業後継者は少ない株式で会社を支配することが可能となり、株式分散により支配権を失うという事態を避けることができます。なお、このような株式の税務上の評価方法はまだ不明です。実際に実行するまでに決めてほしいものです。

 

五、会計参与制度が創設されました

会計参与は、取締役と共同して計算書類を作成する役目を持っています。また会計参与は公認会計士又は税理士しかなれません。したがって、会計参与を置いている会社の計算書類は高い信頼性を持つことが期待されます。ただし、会計参与は公認会計士の行う会計監査のように会社から独立して監査を行い、意見を述べるというわけではなく、あくまで取締役の補助として計算書類を作成する役割に過ぎないところから、どの程度信頼性が増すかは疑問です。さらに、万が一その会社の計算書類に粉飾が見つかったような場合、会計参与が責任を問われることになるでしょうからあまり気軽に会計参与を引き受けるわけにはいかないかも知れません。

いづれにしても会社の計算書類に信用力が増すのは間違いでしょうから会計参与を活用可能な会社は積極的にとりいれることをお勧めいたします。

 

六、決算書の名称等が変わります

貸借対照表の資本の部の名称が純資産の部に変わり、純資産の部の中身も少し変わりますが、中小企業の場合ほとんど影響はないでしょう。また、利益処分案がなくなり、「株主資本等変動計算書」を作成することになります。株主総会の議案書が変わりますので注意が必要です。

なお、役員賞与は今まで利益処分として株主総会の承認を得ていましたが、独立して役員賞与承認の件という議案を提出することになります。また、役員賞与は会計上は通常の費用とされることになりましたが、税務上は原則として損金になりません。

 

七、配当を年に何回でもできるようになりました

配当は、今まで年に二回しかできませんでしたが、原則として株主総会の決議をすれば年に何回でもできるようになりました。また、定款で定めれば中間配当に限って取締役会の決議によって配当をすることができます。

ただし、会社に剰余金がなければ配当をすることはできません。

これによって、四半期ごとに臨時計算書類を作成し、株主総会の承認を得ることによってその計算書類に計上された剰余金を配当することができるようになりました。

 

八、取締役監査役の任期を十年にすることができます

現行の株式会社の取締役の任期は2年です。会社法ではこれを最長十年にすることができます。

監査役も原則四年でしたが、これも十年にすることができるようになりました。

したがって、十年間は役員変更登記をしないですみ、登記手数料を節約できます。ただし、取締役や監査役が会社にとって害になることがわかったような場合は解任することになるでしょうが、本人の意に反して解任したいような場合には正当な理由がない限り損害賠償金を請求されることがありますので注意が必要です。

なお、現在、破産して復権していないものは取締役になれませんでした。したがって、社長が多額の負債を背負って自己破産をすると取締役も辞めることになっていたのですが、そのような場合でも会社の経営を続けることができるようになりました。

 

九、株券を発行する義務がなくなります

株式会社は株券を発行することが原則になっており、もし発行していないと株式の譲渡が無効になっていました。

会社法では、株券を発行しないことが原則になります。ただし、株券を発行する旨の定款の定めを置いている場合は株主の請求により発行しなければなりません。

なお、既存の株式会社は株券の発行をする旨の定款の定めを置いていますので、定款を変更することで株券を発行しない会社になることができます。

 

 


 

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今号のコンテンツは下記の通りです。ぜひご一読ください。

 

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