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第159号 社長の経営教室③

存続に必要な利益とは

社長 新聞などにROEは八%必要だとか書いてあるのですが、どのような数字なのでしょうか。また、わが社が目指すべき数字があれば教えてください。

 

小島 ROEとは、株主資本利益率のことで、株主資本(自己資本)に対する純利益の割合を表した経営指標です。上場会社の場合は投資家(株主)が投資家の持ち分である株主資本に対してどのくらいの利益を計上したかに関心があるため、一定以上のROEを会社に求めることになります。

 

社長 ROEは八%以上なければならないということは、何か根拠があるのですか。

 

小島 投資家は、投資した金額に対して一定以上の利回りを求めます。それは、投資リスク等を考えた場合に必要とされる最低の利回り以上の利益率を求めるからです。それを投資コストと呼びますが、一般に投資コストは八%程度とされています。

 

社長 わが社は上場していないので、ROEは考えなくてもよいのでしょうか。

 

小島 御社は社長が株式のほとんどをお持ちなので、株主である社長としてROEの目標は必要でしょうが、経営者としての社長の立場ですと利益指標はROAの方がよいと思います。

 

社長 ROAとは総資本利益率のことですか。

 

小島 はいその通りです。ROAは、会社の総投資額に対してどのくらい効率よく利益を計上しているかを見る指標なので、会社の収益性を見る基本的な指標です。

 

社長 ROAは、わが社の場合どのくらいの割合が必要なのでしょうか。

 

小島 会社の規模が大きくなれば多くの資産や借入金を持つことになります。たとえば固定資産に投資をするとその固定資産を保有しているだけで一定のリスクを抱えることになります。想定外の陳腐化等で減損を余儀なくされるなどのリスクです。

一方借入金も金利の予想外の変動によるリスクがあります。また会社は常に設備等への再投資や研究開発などをして業務拡大をする必要があります。昨年と同じことをしていては競合他社にあっという間に抜かれてしまうでしょう。そのために利益の一定額は再投資等の資金として留保する必要があります。

これらを合わせると、総投資額(=総資産)の五%程度の利益は必要だと私は思います。

 

社長 利益というのは純利益でしょうか、経常利益でしょうか。

 

小島 理論的には負債に対する利子および純資産に対する配当を控除する前ですから、支払利息を控除する前の経常利益が正しいのですが、わかりやすさや簡便性を考えて経常利益がいいのではないかと思います。

分母が負債総額と純資産の合計額(=総資産)、分子が経常利益ということになります。

 

社長 わが社では売上高経常利益率を各部門の目標にしていますが、変えなくてはならないでしょうか。

 

小島 各部門の利益を考えるとき、その部門で使用している総資本は考えにくいので売上高利益率を使用しているのでしょう。ROAは、総資本回転率と売上高利益率を掛け合わせたものです。

一般の製造業などでは売上高と総資本はほぼ等しいことが多いので総資本回転率は一に近くなります。すなわちROAは売上高利益率とほぼ同じになりますので、簡便的に売上高利益率を使用して管理をしても通常問題ないでしょう。

また、あまり設備投資を必要としない卸売業などで売上高経常利益率を目標にするときは少し低めにするほうがいいでしょう。

 

社長 わかりました。では、部門別の目標設定は売上高経常利益を使用し、会社全体の目標は総資本経常利益率を使用することにします。

 

小島 五%は、会社が存続するための最低ラインを考えて、社長の会社はもう少し高い目標をお考えになったらいかがでしょう

 

社長 わかりました。将来的には十%を目標にしたいと思います。

 

 


 

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